第1章:物流のアウトソーシングとは?その定義と市場背景
「物流のアウトソーシング」とは、荷主企業が自社で行っていた物流業務(倉庫管理、在庫管理、梱包、出荷、配送など)を、外部の専門事業者に委託することを指します。
近年、この物流業務の外部委託が中小企業から大手まで幅広く導入され、企業の経営戦略としても注目を集めています。
では、なぜ今「物流のアウトソーシング」がこれほどまでに重要視されているのでしょうか?その背景と基本を解説します。

■ アウトソーシングできる物流業務の範囲
物流アウトソーシングは、一部業務だけを委託する「部分委託型」から、業務設計・運用・改善まで一括して委託する「包括委託型(=3PL)」まで、柔軟な形態が存在します。
以下のような業務がアウトソーシングの対象となります:
倉庫の運営・保管業務
商品のピッキング・梱包・検品
出荷・配送の手配
在庫のリアルタイム管理
配送後の返品処理
複数拠点の物流統合・再設計
これらの業務を一手に引き受けてくれる事業者と連携することで、社内の負担を大きく減らすことができます。
■ なぜ今、物流を外注すべきなのか?
- 深刻な人手不足と属人化問題
物流現場では、作業員やドライバーの高齢化が進み、慢性的な人手不足が常態化しています。
また、業務が属人化している企業も多く、「担当者が辞めたら現場が止まる」というリスクを抱えているケースも少なくありません。 - EC市場の拡大と出荷対応の複雑化
Amazonや楽天などのEC市場が拡大し、少量多品種・短納期・即日出荷への対応が求められる中、従来の内製型物流では対応が困難になっています。 - 固定費削減と変動費化の流れ
倉庫の人件費、設備、車両など、物流には多くの固定費が発生します。これを外注化することで、出荷量に応じた“変動費”に切り替えることが可能になり、企業の財務体質も柔軟化されます。 - BCP(事業継続計画)への対応
災害やパンデミックなど、突発的な事象に備えて、物流機能を分散化・外部化しておくことで、リスク管理にもつながります。
■ 市場としての物流アウトソーシングは今後も拡大傾向
日本国内における物流アウトソーシング市場は、ここ10年で右肩上がりに成長しており、特に3PL(サードパーティ・ロジスティクス)の市場規模は1.5兆円以上とも言われています。
今後は、AI・IoTの導入やECのさらなる成長、サステナビリティ志向の高まりによって、より高度な物流支援を求める企業が増加すると予想されます。
■ まとめ:「物流=経営資源」という視点で考える時代へ
物流はもはや“裏方の作業”ではありません。顧客体験、収益構造、ブランド価値に直結する「戦略的リソース」です。
アウトソーシングは、その物流を「強くする」ための有効な手段。現場改善だけでなく、企業全体の競争力を高める手段として、いま最も注目されています。
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