数字で見る物流KPI──経営判断に使える5つの指標

ニュース 2025-12-3

物流は経営に直結する重要な機能であるにも関わらず、
「現場に任せているから詳しく把握していない」「数字がブラックボックスになっている」
という経営者も少なくありません。
しかし、物流の状態は“数字”で可視化できます。
定量的に把握することで、問題点や改善ポイントが浮き彫りになり、判断のスピードも上がります。
今回は、経営判断に活用できる物流KPI(重要業績評価指標)を5つご紹介します。

物流KPIイメージ

① 在庫回転率(Inventory Turnover)
計算式:売上原価 ÷ 平均在庫額
この指標は、どれだけ効率的に在庫が売れているかを表します。
回転率が低い場合、売れ残り・過剰在庫・キャッシュフローの悪化につながるため要注意。
逆に高すぎると“在庫切れリスク”があるため、適正バランスが重要です。
目標値は業界や商品特性によって異なりますが、自社のトレンドを常に把握し、改善していく必要があります。


② 出荷ミス率・誤出荷率
計算式:誤出荷数 ÷ 総出荷数 × 100(%)
物流品質を測るうえで最も分かりやすい指標のひとつ。
誤出荷が1件でも発生すると、顧客対応・返品対応・再配送料などの見えないコストが発生し、信頼にも関わります。
1%を切るのが理想であり、ヒューマンエラーの原因分析と仕組み改善(WMS・検品強化など)が鍵となります。


③ ピッキング生産性(出荷件数/人・時間)
例:1人1時間あたりのピッキング完了数
作業の効率性を把握するうえで不可欠なKPIです。
人件費が高騰する今、1人あたりがどれだけの出荷処理をできているかは収益性に直結します。
日別・担当者別・ゾーン別に比較分析することで、ボトルネックや教育課題も可視化されます。


④ 積載率(積載重量 ÷ 最大積載可能重量)
トラックなどの配送車両に対し、どの程度の積載効率で出荷しているかを示します。
積載率が50%を下回るようであれば、配送コストが割高になっている可能性が高く、配送ルートや出荷頻度の見直しが求められます。
混載や共同配送の導入も視野に入れ、配送最適化を図ることがコスト圧縮に直結します。


⑤ 物流費比率(物流費 ÷ 売上高 × 100)
物流費が売上に対してどれほどの割合を占めているかを示すKPIです。
業界平均は約5〜10%と言われますが、ECや食品業界などはそれより高い傾向にあります。
「値上げできない商品」ほど、この比率が直接利益に響くため、
どこまでを“物流費”と定義するか(人件費、梱包材、システム費含むか)も含めて、
自社の基準を明確にしておくことが必要です。


■ KPIを“会議資料”に入れることで、経営判断が進化する
これらのKPIは、経営層の意思決定の場である経営会議・管理会議に定常的に組み込むことが重要です。
属人的な「なんとなく問題ありそう」という感覚から脱却し、数値を根拠にした施策立案と改善PDCAが回せるようになります。
たとえば:
在庫回転率が低下 → 販売部門と連携して在庫調整
誤出荷率が増加 → WMSや検品体制の見直しを検討
物流費比率が上昇 → 3PL導入や見積再交渉の判断材料に
このように、物流は「数字で語れる経営資産」に変えることが可能です。


■ まとめ:KPIは“改善の武器”
物流を数値で捉えることは、経営における最も強力な改善ツールの一つです。
KPIがあれば、原因の特定・対策の評価・コストの管理ができ、社内の意識改革も進みます。
「現場に任せきり」から「経営が向き合う物流」へ──。
KPIの導入は、その第一歩となるはずです。

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